手足が冷たく夏でも厚い靴下が欠かせないという冷え性の女性は少なくありません。また近年は、平熱が常に36度以下という低体温の人が増えています。この身体の末端が冷える冷え性と、身体の中心温度が低い低体温は、いっけん同じ冷え体質のように見えますが、実は異なる症状なのです。その違いを解き明かします。
冷え性と低体温の違い
冷え性のつらい手足の冷えは、寒さを感じたときに身体の中心部に血液を集めて体温を一定に保とうとすることで引き起こされます。四肢末端や体表面の血管を収縮させることで体熱の放散を防ぎ、心臓や肝臓などに血液を集めて温度を上げようとするのです。しかし、エアコンの普及やストレスの増加などによって、この冷えの状態が積み重なると、常に末端の血管が収縮していて冷めたい状態になってしまいます。これが冷え性なのです。たとえ冷え性の状態であっても、体温を計ると平熱は正常であることがほとんどです。一方低体温は、筋肉の低下などによって熱エネルギーそのものを作ることができなくなり、体温が35度台まで下がってしまった状態です。身体の内部が全体的に冷えているため、冷え性に比べて自覚しにくい特徴があります。最近風邪をひきやすくなった、アレルギーが出始めた、意欲がおきないなど日常的な不調が続いて、体温を計ってやっと気づくことが多いのです。体温が35度台になると免疫力が急激に低下し、ガン細胞も活発化するため、低体温を放っておいてはさまざまな病気になりやすく、要注意の状態といえるのです。
低体温は危険度が高い!
女性の7割もが冷えをつらいと感じているといわれます。女性は男性に比べてもともと熱を作り出す筋肉が少なく、手足などの末端から血液を心臓に送り返す筋肉の力も弱いために血行が悪くなりがちです。また月経の影響などで腹部の血行が滞りやすいことや、女性に多い低血圧や貧血が関係して冷え性が多いのです。低体温は、冷え性と同じではありませんが、冷え性から低体温になりやすく、低体温になれば冷え症も起こりやすいなど無関係ではありません。また近年は、女性だけに限らず、男性の冷え性や、男性や子供の低体温も増えており現代病のひとつとなっています。冷え性は食事療法や運動などにより血行をよくすることで改善していくことができますが、低体温の場合は、自律神経障害などの病気が原因し専門的な治療を必要とすることもあります。身体を温める生活習慣に切り替えても低体温が続くときは、医師に相談することをおすすめします。
まとめ
現代は、生活習慣の変化によって筋肉が衰え、代謝が悪くなって冷えに悩む人が急増中です。手足が冷たくなり自覚しやすい冷え性に比べ、低体温は体の内部の全体的な温度低下で自覚しにくい上、免疫力低下によって様々な病気を誘発する危険が高いのです。女性に限らず男性や子供の低体温も増えている中、甲状腺機能障害などの病気がかくれているケースもあるため、自己診断に頼らずに医師を受診することが望まれます。