通常、排卵後は体温上昇がみられ低温期から高温期に移行します。そして月経がくる前に胸の張りが見られる人も少なくありません。低温期のままなのに胸が張っているのは身体の異常なのでしょうか。低体温での胸の張りは、どんな状態と考えたらよいのでしょうか。
胸の張りはなぜ起こるのか?
女性のからだは月経、妊娠、出産などのために、ホルモンが変化し体調の乱れや精神不安定になりやすい特徴があります。女性のからだをほぼ28日周期でコントロールしているのが2つの卵巣ホルモン、卵胞ホルモンと黄体ホルモンです。胸の張りが起こるのは、排卵後つまり月経の2週間前からたくさん分泌される黄体ホルモンの影響です。乳腺の発達を促すこのホルモンは、妊娠したときにも分泌されるため、同じように胸の張りや痛みがおこるのです。月経予定日を一週間過ぎてもまだ胸の張りが続く場合は、妊娠している可能性があります。どちらにしても、胸の張りと同時に体温が上昇するのが普通です。
低体温と胸の張り
この2つのホルモンと基礎体温の変化は密接な関係があります。基礎体温をつけはじめるとわかるように、だいたい一定周期で基礎体温の低い低温期と少し高くなる高温期の2相に分かれます。通常、排卵によってホルモンが変化し、体温が上がって低温期から高温期へ移行します。その高温期に、胸の張りに関係する黄体ホルモンはたくさん分泌されます。腹痛や頭痛、イライラなど精神不安定の症状が多く見られるのも、月経前のこの時期です。低温期のまま胸が張ることは通常はありませんが、排卵によって黄体ホルモンが分泌され、体温変化がさほど見られないまま胸が張ったと考えることができます。ホルモンバランスが乱れている可能性があります。また通常2週間ほどあるべき高温期が短い場合は、黄体機能不全で受精卵が着床しにくかったり、子宮内膜が月経としてきちんとはがれ落ちていなかったりという問題を含んでいます。低温が続いて高温期がこない場合は、無排卵や排卵遅延の可能性があります。いずれも現代病でもある低体温や、精神的ストレス、自律神経の失調などが血液循環を悪化させ、子宮や卵巣の冷えを招いていると考えられます。
まとめ
胸の張りは、排卵後体温上昇とともに起こるからだの変化です。近年の女性の低体温の増加により、子宮や卵巣は冷えて血行が悪くなり生殖機能が低下している人も少なくありません。低温期のまま高温期がこない、高温期が短い、安定しない場合は、女性ホルモンのバランスが乱れています。からだや生殖器官を温めることで、バイオリズムを取り戻すことが大切です。