低体温と甲状腺とホルモンについてのおはなし
甲状腺は、からだ全体の新陳代謝をホルモン分泌によってコントロールしている器官です。代謝が悪くなり低体温で太りやすい、疲れがとれないなどの症状と甲状腺ホルモンはどのような関係にあるのでしょうか。
甲状腺とホルモン
甲状腺は、喉の前面にあるハート型の小さな臓器で、通常は触っても分かりません。その甲状腺が腫れてホルモン代謝がくずれると、甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症という病気になります。甲状腺ホルモンの働きは、全身の細胞の新陳代謝を促進してエネルギーを作る、新陳代謝で得られたエネルギーで体温調節をする、脳を活性化する、心臓や胃腸の働きを活性化するなど、生命維持をつかさどります。甲状腺ホルモンが多すぎても少なすぎても体調を崩してしまうのです。甲状腺機能亢進症は、甲状腺を異物とみなして産生された抗体が甲状腺を刺激し続けることによってホルモンが過剰に分泌され、身体の新陳代謝が活発になりすぎた状態です。甲状腺機能低下症は、甲状腺を異物とみなして産生された抗体が甲状腺を破壊してホルモン分泌が減り、身体の新陳代謝が停滞して低体温を引き起こします。
低体温と甲状腺ホルモン
アメリカでも日本でも、数年前から軽度の甲状腺機能低下症が話題になっています。女性に多いのが特徴的ですが、太りやすい、低体温、肌が乾燥する、無気力感などの症状があるものの放置されがちです。放っておいてむくみがひどくなると、心機能低下やコレステロールが増え動脈硬化につながる危険があります。病気の原因は、遺伝由来やヨウ素の過剰摂取などと言われますが、はっきりとは解っていません。若い女性にも多く見られますが、甲状腺ホルモンが乱れていると妊娠しにくい傾向があり、妊娠中では胎児への影響も深刻です。また出産後は、免疫機能が高まるため、甲状腺ホルモンの分泌も乱れやすくなりがちです。女性にとって、女性ホルモンだけでなく甲状腺ホルモンのバランスチェックは欠かせません。
まとめ
低体温にはいろいろな原因がありますが、甲状腺ホルモンの機能低下からくる低体温は、専門医の治療が必須です。逆に言えば、甲状腺の機能を回復することで低体温を克服することができるのです。